hideと共に作りながら、未完成のままとなっていた幻の曲を、「hideの愛弟子」と言われた井上"kuma"秀樹が、12年間の沈黙を破り、発表。
X JAPAN成功へと失踪した青春の記録!
収録曲について
いかにもhideらしいポップでハードなロックテイストと、kumaがhideから
譲り受けたスピリッツが垣間見える歌詞、そしてkumaの真っ直ぐな生き方が
表れたメロディと歌声。
それが渾然一体となって、強いエネルギーに昇華した、力強い曲。
精神性の高いミクスチャーサウンドが、後期のhideを彷彿とさせる、感動的なミディアムバラード。激しさと美しさが交じり合う深い音楽性と歌詞は、hideからkumaへ、そしてまたkumaからhideへと、何度もやり取りがあったであろう事を感じさせる。
「どちらの曲も、愛弟子kumaを想うhideの強い気持ち、kumaの音楽性を評価し、力を与えながら、同時に自らの高い音楽性を授けようとしていたhideの強く、深い気持ちが、そしてその大切な曲を、あえて12年間封印してきたkumaの真意が、聴くほどに伝わってくる作品となっている。
伝説のバンド
終わらない絆について
世間がX JAPANのギタリスト、hideの訃報に大きく揺れ、たくさんのファンが深い悲しみに包まれていた、その頃・・・。
一人の青年が、やはり深い悲しみと絶望感に包まれ、自分を失いかけていた。
井上"kuma"秀樹だった。
中学生の頃からX JAPANのスタッフに参加し、東京ドームまでをX JAPANのメンバーと共に駆け抜け、途中からはhideのパーソナルスタッフとなり、長年hideを支え続けた男、kuma・・・。
常にhideと行動を共にし、「hideの愛弟子」と言われた彼は、hideが周りに、「宝物を見つけたんだ」と洩らしたエピソードでわかるように、hideから圧倒的な信頼を得、深く愛されていた。
kumaも、その能力や尊敬のすべてをhideに傾け、hideを人生の師と仰ぎ、二人は特別な絆で結ばれていた。
そんなkumaは、師を失った深い悲しみの中、hideと過ごした時間、そして未完成のまま取り残されたある曲を手に、途方にくれていた。
その曲は、半年ほど前、hideと二人で創っていた、大切な曲だった。
X JAPANがまだXだった頃、スタッフと平行してバンド活動をしていたkumaの可能性とボーカル力を高く評価していたhideは、kumaのバンドに"NERVE"(ナーヴ)というバンド名を贈ったのだった。
そして97年秋、kumaの音楽性と愛弟子を想う気持ちから、いつも「もっとオレを利用しろ」と言い続けていたhideが、その気持ちをありがたく思いながらも謙虚にそれを拒み続けるkumaに対し、hideはある行動に出た。
自分のアルバム曲作りのため山中湖での合宿へ向かう際、強制的にkumaを連れて行ったのだった。それは、kumaのオリジナル作品の曲作りに自分が参加することで、自らの音楽的な要素をkumaに授け、周りのkumaへの評価を、より確かなものにしよう、と考えたためだった。
その合宿の成果として2曲が形になったとき、hideがkumaへ託したのは、「この曲をバンドで歌い、世の中に出ろ」という、強いメッセージだった。
kumaにとって、宝物である2曲・・・。しかも、hideとの共作作業中のまま、未完成のままになってしまっている2曲・・・。hide亡き後、世の中にどう伝えるべきか深く考え続けたkumaは、結局それらを、封印する事にした。hideの思い出と共に、その未完成の曲は、kumaの心の中にしまわれたままとなった。
そして12年後・・・。
X JAPANは前の年に引き続き、hideの映像と共に東京ドーム公演を成功させ、不況で暗くなりがちな世の中に、一筋の明かりを点した。そしてその素晴らしいライブは、hideの記憶が、たくさんのファンの心の中で、今もしっかりと生き続けている事を、示していた。
そんな中、hideの遺志を受け継ぎ、アーティスト活動の傍らレーベルの代表として数々のバンドをプロデュースしてきたkumaは、一つの節目として、ある決心をする。
それは、未完成のままになっていた幻のあの2曲を、今の自分が出来る、ベストな状態で形にしhideの想い出と共に、世の中へ、そして何よりhideに届けよう、というものだった。
2009年12月13日。
hideの誕生日に、12年間の沈黙を破り、今回出版されるkumaの自伝本【終わらない絆】には、kumaが見守り続けた、魅力溢れるhideの姿が、生き生きと描かれている。
そして、hideと共に創りあげた幻の2曲は、hideの音楽性と、それを心から信じ、想い続けたkumaの音楽性が一つになり光り輝く、レベルの高い、深い音楽となっている。
kumaの歌声の向こう側には、人が人を、人生をかけて支え続ける事の強さと優しさが垣間見える。
「すべてのはじまり〜エックスという青春〜」津田直士著